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JJの気まぐれブログ

転職先が決まった話し

皆さんお疲れ様です。今回の記事は転職の話しです。4月6日に日本からシアトルに戻ってきてから転職活動を始めたのですが、先週の金曜日(5月19日)に無事、新たな就職先が決まってサインをしたので、具体的なプロセスがどのようなものだったかについて書いていきたいと思います。この記事の大まかな目的は(1)自分で後で振り返る用、(2)アメリカの製薬会社の転職活動のことや待遇について気になる人向けに全て情報を公開する、(3)藤原君をはじめ仲の良い友達にアメリカ来て働きたいなと思わせる、の3つなのでかなりのオーバーシェアになると思います。今就活中の人などに取ってはフラストレーションが溜まる内容になってしまうかもしれないので、心に余裕がある人で、内容に興味がある人だけ是非読んでみてください。

さて、本題に入るのですが、まずはなぜ転職をしたのかについて書きます。具体的には前々回の新卒1年目の振り返りなどを読んでもらえば理由が明確かなとは思うのですが、簡単に言うと(1)刺激がほしい・新しいことが学びたい、(2)より良い待遇がほしい、(3)将来のキャリアの可能性の幅を広げたい、の3つが主な理由です。僕が今働いている会社に入ったのは2022年6月9日なので、そろそろ丸1年ということになるのですが、1年で転職するのは早いのではないか?と思われる方もいるとは思います。僕も社会人になる前まではそう思っていたのですが、アメリカの製薬業界では転職が盛んで、1~数年で転職するのが主流となっています。しかし所属1年未満で転職してしまうと少し見栄えが悪いらしいので、僕も丸1年になるタイミングを待っていた感じです。なぜそこまで転職が多いのか?ということに関しては色んな説があるとは思いますが、一番信ぴょう性の高い説は転職するのが給料を上げるのに一番効率的だからです。

ということで多くの人が興味があるだろうお金の話しを先に済ませてしまいたいと思います。まず僕が今の会社に入った去年6月に契約した時の年収は$50,000でした。そこから今年に入ってレイズがあり1月に$52,750、そして4月に$55,300ほどに上がりました。この4月からの給料が転職直前の給料になるので、これが転職時にはベースの数字となってきます。アメリカでは(多分他国もそうだとは思いますが)就職する時に必ずリクルーターの人に希望給料を聞かれます。これに対する答えが実はとても重要で、相手が想定している額の少し上を言えた人ほど高い給料で契約が結べるとまで言われています。もしも謙虚を極めてお金は大丈夫ですと言ったり、自信がないからと低く見積もって言うと、向こうの想定額より下で提示してくるのがアメリカンスタイルです。逆に高く言い過ぎてしまうと、相手から”こんな自分の身の丈も知らないようなやつは話しにならない”と思われてオファーがもらいにくくなったりもするのです。新卒の時の僕はとにかく仕事が欲しかったので、前者の方法で給料はいくらでもいいと言ってしまいました。それでゲットしたのが$50,000だったのですが、後に聞くと自分より後に入ってきた交渉上手の人達の方が給料が少し高かったりしていて、なんだこの不公平なクソシステムはと思ったことを今でも覚えています。

同じ間違いを犯さないためにも、今回は入念にお金のリサーチを積んで交渉に向かいました。まずはベースが$55,300ということで、転職する時の大体の昇給率を聞き回りました。するとあくまで製薬業界の中での話しですが、転職する時の昇給率はおおよそ15%~20%ということを学びました。経験が少ない新卒数年目でも低くて10%増しは期待できるということで、既に僕の行きたい会社に転職していた先輩と作戦を練って、希望年収は$60,000~$65,000ということでリクルーターに伝えました。これだと低めには8.5%増しまで妥協するけど、本当の理想は17.5%増しだよというメッセージで、かなりラインを抑えられた妥当な設定額になっています。ちなみに新しい会社のリクルーターには僕の今の給料は伝えていないのですが、製薬業界はそこまで広くないので、僕がどの程度もらっているのかということについてはバレています。また、僕が転職先として狙っていた会社は3つなのですが、3つとも全て今働いている会社より給料帯が高いのは噂で聞いていたので、内定さえもらえれば少なくとも$60,000は貰えるだろうなと期待していました。

内定に辿り着くまでのステップは次に書くとして、まずは皆さんが気になるであろう契約内容を先に公開しようと思います。結果から言うと年収$65,000+サインボーナス$10,000という契約でサインをしました。年収に関しては僕の希望の一番高い額をくれたので、もっと高く聞けたかもなーとは思いながらも誠意に満足しました。しかしサインボーナスについては全く予測していなかったので驚きました。このサインボーナスというのは僕も人生で初めてもらうので今まで知らなかったのですが、大体は先にこの額あげるけど1年以内に辞めたら返してね、というお金です。僕の場合は働き始めてすぐに$5,000、働き始めて半年でもう$5,000が貰える契約で、たとえば1回目を7月1日、2回目を1月1日にもらったとすると、来年の7月1日まで働いたら最初のボーナスに対する返済義務がなくなる、再来年の1月1日(約1年半後)まで働いたら2回目のボーナスに関しても返済義務がなくなるということです。ちなみに貰う時は3割強税金で引かれるのですが、返済する時は税前の額で返さなければならないので、サインボーナスが高ければ高いほど、すぐ辞めて返済ということになると損になります。内定をもらえた会社は第一志望だったので、もちろん数年以上いたいなと思っていたこともあり、このボーナスに関してはシンプルに嬉しかったです。冷静に見れば、交渉すれば多分年収とサインボーナス合わせて$80,000までは持っていける気もしたのですが、交渉をするとサインまでに時間がかかってしまう+オファーがなくなってしまう可能性もあるので、今回は95%の満足度だったこともありお金に関してはこれ以上交渉せずに一発でサインしました。ボーナスを2年かけて$10,000という解釈をすると大体2年で年$70,000のサインをしたことになるのですが、この額はシアトルの製薬業界大卒2、3年目ということを加味すると、平均よりは少し高いかもだけどまあ妥当というレベルの金額のようです。給料に関して言えば他分野の方がもっと稼げますし、インフレが凄くて全員の給料が上がっているだけなので年$70,000という額は全然高くないのが現実です。例えば僕の友達の藤原君(世界最強大学の1つである誰でもKOしちゃうぞ大学でマスターまで出ていて鉄の研究をしている、僕の知り合いの中で1番賢い天才君)なんかがアメリカで働ければ軽く年$120,000は稼げてしまうので、僕は彼に渡米を勧め続けています。

ここからは転職が決まるまでのプロセスを振り返っていきたいと思います。まず、4月6日にシアトルに帰ってきてから数日間は、家から車で10分以内で通勤できる会社の中で行きたいところをリストアップしました。というのも僕の住んでいるエリアは国際的な事業展開をしている製薬会社のラボやオフィスが多々あるエリアで、それなら家から近いところでいいじゃんと思ったのです。今働いている会社から過去に転職した人が山のようにいるのですが、その人達がどこに行ったのかを見聞調査などで調べ上げ、僕が転職したい3つの願望を満たしてくれそうな会社を3つに絞れました。そこからは4月11日、12日にバーーーっと各会社5ポジションずつくらいにアプリケーションを出し、あとは返事が来るまで待ちました。2つの会社からは早々と今回はチャンスがなさそうだと連絡が来たのに対し、もう一つの会社からは4月15日に電話が来ました。ということでリクルーターの人と希望給料などの話しを軽くした後にインタビューをセットしてもらい、26日にマネージャー3人とビデオ通話で30分ほど面接しました。面接は普通のことしか聞かれなかったので特に何を話したかは覚えていませんが、終わった瞬間まあ内定はないだろうなと思いました。というのも僕はmanufacturing(製造:色々ラボで作るポジション)で働いているのですが、面接をしてくれた部署はQCquality controlmanufacutingが作ったものをテストするチーム)でこれやったことある?という技術的な質問が15ほどあったのですが、なんとびっくり15連続ノーだったのでまあ可能性を感じませんでした。そもそも僕の会社は化学系の製薬で、インタビューを受けた会社は生物系の製薬なので、何年働こうが他の会社のメソッドなんてわかるわけがないのです。まあとは言っても落ち込む必要もないので、開き直って待っていたら、次は同じ会社から今度はmanufacturingの部署から連絡が来て、5月4日に今度はマネージャー1人と45分面接をしました。今回は手応え抜群でこれは内定だなと自信を持てる内容でした。そして5月13日、僕はこの会社のまた別のリクルーターからあなたがまだ興味があればこちらからオファーを出す準備はできているという電話が来ました。もちろんmanufacturingの内定だと思っていた僕はこのオファーがQCの方だということを言われて驚きました。どういう評価で内定を考えられているのかはわからなかったのですが断る理由もなかったので、お願いしますということで二つ返事をしました。その次の週には具体的なシフトとお金の話しがあり、どちらもmanufacturingが提示してくれていた内容より良かったので、QCの方にサインすることに決め、正式なオファーを19日に貰いすぐにサインをしました。ちなみにmanufacturingの方も同じ週にオファーを出すと言われたのですが、シフトが朝5時~午後5時半か午後5時~午前5時半の選択肢しかないmanufacturingに魅力を感じなかったので、QCのオファーを聞いてから丁重に断りました。

僕のポジションについてですが内定は貰ったものの正直何するかはよくわかっていないので、仕事内容に関しては働き始めてからまた書きたいと思います。シフトに関しては日月火水の週4日で朝6時~午後4時半までの10時間シフトです。ちなみにこの会社のラボは24/7休みなしで稼働していて製造チームは朝5時~午後5時半と午後5時~朝5時半の12時間シフトを週替わりで週3、週4を交互に4つのシフトで回しています。QCチームは深夜~朝6時は働いておらず、それもあり朝6時~午後4時半チーム(日月火水か水木金土)と午後1時半~深夜0時チームの4つのシフトで全ての時間帯がカバーされています。10時間シフトは初めてのものの、毎週木金土が休みなのは時間を有効活用できそうでとても楽しみです。スタートの日は6月27日と決まったので、先週の金曜日に今の会社にtwo weeks’ noticeと呼ばれる辞表を提出して6月3日が最終日になりました。ということで3週間ちょっと空く期間は夏休みを満喫する予定です。給料も上がり、サインボーナスも貰え、バケーションも取れるしモチベーションも上がるので、なぜアメリカで転職が盛んなのか少しわかったような気がしました。とは言え、人生常に全てがうまくいくわけではないため、調子に乗りすぎずに謙虚な気持ちを忘れないようにして日々生活していこうと思います。では今回の記事はこんなところで!