JJ

JJの気まぐれブログ

2年ぶり2回目の転職

~転職先~

 

 まずは結論から。311日から新たにMeta (Facebook) ”QA Analyst Project Coordinator” として新たに働き始めることに決めた。現在勤めている製薬会社 Bristol Myers Squibb (略称BMS) 3月上旬を持って辞める予定だ。今回は転職活動を始めたきっかけ、この結論に至るまでの過程、そして様々考えたことを記し残したいと思う。

 

BMS内での転職活動~

 

 まずはBMSの内部転職活動の結果をざっとまとめたいと思う。僕は入社した20226月から20239月までは “QC Associate I”202310月から現在までは “QC Associate II” というポジションで働いていた。製薬会社には様々な部署があるが、製造ManufacturingQC (Quality Control)、そして QA (Quality Assurance) は中でもメジャーなものとして知られている。具体的な構図を書くと長くなってしまうので、ストーリーに必要な部分だけ切り取ると、僕は QC ではもう成長する未来が見えなかったので QA チームに入るために社内転職活動を12月に始めた。QAに入りたかった理由は大きく分けて2つ。より国際的なプロジェクトに取り組めることと、給料が上がること。

 

 これも結論から言うと12月に合計45ラウンドの面接を経て内定を貰えた。では、なぜこのポジションでなくメタに行くことにしたのか? そしてそもそもなぜメタにアプライしていたのか? ここからが本題になっていく。

 

~たまたま来た一件の連絡~

 

 実は僕はメタのポジションには自分からはアプライしていない。アメリカではLinkedInという、就活用のSNSを大多数の人が使用しているのだが、たまにリクルーターからこの仕事興味ありませんか? と連絡が来ることがある。大体は人が見つからない、低給料のポジションへの勧誘が多いため、大抵は来ても無視することが多いのだが、メッセージが来たのがちょうどBMS用の面接練習を始めようかと思っていた辺りの116日。派遣会社の人事部の人から、うちのクライアントが日本語を喋れる人を翻訳のエンジニアとして欲していて、あなたのプロフィールに日本語とあったから連絡してみました、と来ていた。大したポジションでも無さそうだしほとんど興味はなかったのだが、面接だけしてみるかと思いしてみた。

 

 まずはこの人事の人と話し、次の週にはテキサスにいる採用マネージャーと話したのだが、そこでクライアントがメタであることを知らされた。まあメタとはいえ契約社員のポジション(また後で詳しく説明するが)には全く興味がなかったため、練習だけしようと思って気楽に話してみたのだが、気に入ってもらえたようで数日後には彼女のチームのエンジニアと40分ほど面接。彼によると、採用しているポジションは、AIを使った翻訳の新商品開発に取り組んでいるチームに必要らしく、この新しいプロジェクトは日本語・韓国語・中国語がメインだそうで、その中の2つをペラペラ話せる僕を是非ともチームに加えたいとのこと。だが、僕はAIのことは何も知らないし、エンジニア向きの性格でもないため、面白そうだなとは思ったものの、自分以外に良い人がいそうだなと割り切ってテクニカルな質問(コーディングの経験、AIの知識など)には正直に何も知らないと答えた。

 

 すると次の週に予想通り人事の人から、日本語翻訳のエンジニアには他の候補者が選ばれたとの連絡が。まあそりゃそうかと思っていたが、次の日にプロジェクト・コーディネイターとしてチームに入ってほしいとの打診が。元々なかったポジションだったらしいが、聞くとテキサスのマネージャーとエンジニアの二人とも僕のことを気に入ってくれたようで、日本語・韓国語・中国語を話すエンジニアとビジネス側の架け橋として働いてほしいとのこと。MBA取得中、そして製薬会社で厳しいレギュレーションを守りながら働いてきた経験、スケジューリングをしていた経験などことも功を奏したのか、あっさり内定が来た。

 

~給料と待遇~

 

 メタから内定は来たものの当初の提示額は時給$39(年収換算$81,120)。BMSで貰っていた基本給が時給$35.1$73,000)、新しいポジションからの提示額の範囲が年収$80,000~$85,000と予想されていたため、正直そこまで魅力的なオファーではなかった。ということでメタの方は断る前提で、MBA取得中であること・製薬業界での経験値・トライリンガルであることの3つをアピールポイントに、10~20%給料を上げてほしいとお願いしてみた。すると次の日にあっさり17.5%も上げてくれ、新たなオファーは時給$45.90(年収換算$95,4721434万円程)に。ちなみにこの額はエージェントである派遣会社を通した後の提示額であるため、メタが払っているお金はこれの36割増しと考えられる。あくまで予想でしかないが、もしメタから直接同等のポジションに採用されたら、ベネフィットがあるため基本給が抑えられるとはいえ、確実に$100,000は超えていたと思う。

 

 さて、ここまでだけを見るとお金的にメタの圧勝じゃん! と思う方もいるかもしれないが、ここからが契約形態を含めた具体的な計算になっていく。

 

金額・詳細

項目

BMS

メタ

基本給

$83,000.00

$95,472.00

保険

-$1,440.00

-$3,120.00

ボーナス(8%)

$6,640.00

$0.00

年金積立(9%)

$7,470.00

$0.00

有給

56週間

2週間

病欠

無制限

1週間くらい

シフト

月金 7~15時、週2日リモート

時間自由、フルリモート

契約形態

正社員

612ヶ月契約

保険込み総額

$95,670.00

$92,352.00

保険抜き総額

$97,110.00

$95,472.00

 

 見ての通り、実はお金だけで見ても、ベネフィット込みで考えるとBMSのオファー方がメタに勝っている。ここには省いたが(後に詳しく説明する)、学費補助も50%ある(年$15,000程度)のに加え、その他これまでに配布された、年数に応じて自分のものになる自社株や年金積立分などまで合わせると、BMSに長く残れば実質1年あたり$120,000に近い契約となっている。そして、解雇される可能性もほぼないため、基本は他から相当良いオファーがなければ辞めないのが一般的だ。ということで、メタからのオファーは、基本給だけで見ると魅力的だが、ベネフィットなしに加え、1年後には次の契約があるか分からない大きな不確定要素もある。

 

~この先数年間のプラン~

 

 さて、ここからはなぜこんなに安泰であるBMSのポジションを捨ててまで、リスキーな契約社員のポジションを選んだかについて語っていこう。まず、カギになってくるのはMBAインターン。昨年の9月からプログラムに入り、卒業予定は2026年の6月なのだが、業界を変えたりキャリアを大きくスイッチさせたい人に強くオススメされているのが、卒業1年前の夏の長期(3ヶ月ほど)インターン。仕事をせずに2年のフルタイムMBAをしている学生はほぼ必ずやっているのだが、僕のプログラムは3年かかるパートタイムで、大半が既にフルタイムの仕事を持っているため、仕事を辞めてまでインターンをやりたいという人は少ない。僕はというと、7割くらいの気持ちでインターンはしたいなと考えていた。狙いは金融・コンサル・またはテクのプロジェクト、プロダクトマネージャー辺り。

 

 インターンのメリットは、MBA新卒というカードを使った就活をできること。MBA就活がうまくいけば、卒業予定の2026年夏には年収$150,000+サインボーナス+ベネフィットと、年平均$200,000を超える契約を勝ち取ることができる。デメリットは、2025年夏のインターンのためにフルタイムの仕事を辞めなければいけないため、卒業までの9ヶ月間ほどは無職になること(勿論インターン後に契約のポジションなどで一時的に就職することはできる)。ただ、このインターン探し・そしてMBA就活は相当頑張らなければ勝ち取れないため(このプロセスにオールインしているフルタイム勢との競争がしんどい)、パートタイムの多くの人は荒波に飛び込むより、今いる会社での昇進・普通の転職を選ぶケースが多いのだ。

 

 このインターンをするかしないか問題だが、大事になってくるのは僕がここから数年間でどの道に進みたいかだ。製薬業界でキャリアを積むことにフォーカスするのならば、インターンはせずにBMSに残ればいい。BMSに残り続ければ、毎学期後の返済日から2年間勤務すれば確定できる学費補助(総額$45,000202512月末から3ヶ月おきくらいに$5,000ずつ確定できるため、インターンをするために辞めると一切キープできないが、残り続ければ20286月を持って全額キープ可能)もあるため、昇進やその他前述のベネフィットも含めると卒業時には年間込み込みで$140,000ほどの契約にはなる。ただこのオプションは自分の中では3割くらいだった。なぜなら、次のパラグラフのテーマになってくるのだが、モチベーションと学びの部分に不安があるから。

 

 ここまでをまとめると、インターンをする場合(7割)、来年の夏にはBMSであれメタであれ5月に辞めるのは確定。インターンをしない場合(3割)、BMSであれば残留、メタであれば契約が切れる予定の3月(612ヶ月契約とは書いてあるが8割型12ヶ月は確約される見込みだそう、延長は月毎で可能だそうで、もちろんフルタイムコンバートの可能性もあるが全て未知数)で辞めたら、また新たな仕事を探す必要性が出てくる。インターンをして新しい業界に飛び込んだ場合、卒業までの2年間は収入は減るが、卒業後は年$200,000以上の大型契約が期待でき、インターンをせずに製薬業界に絞った場合、今から順当に、ゆっくり右肩上がりの契約を、あまり不確定要素なしに毎年ゲットできる。5年間の総額を比較すると、新しい業界に行く方が勝率は高いだろうが、それ以降は今は未知数であるためあまり比較する意味もなく、結論どっちの道を選んでもお金の面では8割くらいの未来では大差がない。

 

~将来への投資・仕事での学びの重要性~

 

 ここからはお金に大差がないことを踏まえて、どっちの道を選びたいかという話しだ。結局メタに決めた大きな理由は、簡単に言うと、よりワクワクすることがしたかったから。

 

 製薬はとても良い業界だと思う。有給の多さや産休の充実具合など、ワークライフバランスがとても良いため、子育て層や定年間際の人には持ってこいな仕事環境だ。仕事内容も大して難しくないし、解雇されることもほとんどなければ、テク業界には劣るが給料も待遇を合わせると及第点以上だろう。だが、個人的には3年弱製薬業界にいてみて感じるのは、良い意味でも悪い意味でも刺激がなさすぎること。仕事内容はある程度慣れるとルーティンでしかなくなってきて、全く考えることをせずに仕事をこなせてしまう。たくさん仕事をするインセンティブもほとんどないため、段々と最低限やることだけやって後は自由時間となってしまう。僕は大半の時間をMBAの課題や試験勉強に使っていたのだが、それでも仕事で得られるものが、時間とトレードしてもらえる給料だけの実態に段々と危機感を持ち始めていた。せっかく週40時間を仕事に割いているのに、学びも刺激も特になく、そんな毎日が続くとやる気も無くなっていく。こんなんを5年間続けたところで、目標であるアジア支部の代表のポジションに就けるのだろうかと。一体うまくサボる以外なんのスキルがつくのだろうかと、少しばかり不安が出てきた。

 

 一方メタはどうだろう。まだ市場に出ていないAIの新製品の開発に携われるということはもちろん学びも多いだろう。それも自分のユニークなスキルであるトリリンガルという強みも最大限活かしつつ。人間誰でもそうだと思うが、誰でもできる仕事よりも、自分にしかできないことを任される方が自己肯定感もモチベーションも上がるものだろう。インタビューをしてくれたマネージャーとエンジニアから、どうしてもチームに欲しいと求められたのはとても嬉しかったし、トリリンガルだけでなくMBAでの学びもダイレクトに使えるこのポジションは、自分のキャリアにおける強みを形成するために最適だと感じた。そして何よりも、この新たな業界・環境で自分はどれだけ通用するのか、どんな学びがあるのか、純粋にワクワクが止まらない。もちろん、契約が切れた時に仕事がないことへの不安や、安定した製薬業界でのキャリアに一旦別れを告げることに未練がない訳ではない。だが、その不確定要素を求めている自分がいることも確かだ。

 

 全てが見えてしまう製薬業界は面白くないし、支えるべき家族もいなければ、経済的にも特に困っていない僕が、来月25歳というまだまだ若い時期に、刺激とチャレンジを抑えてまで安定を選ぶ理由がないなとも感じた。今回もBMS、メタと就活は22勝だし、面接で落ちた経験も人生でほとんどないため、契約が切れたとしても、次の仕事も正直すぐ見つかるだろうと思っている。製薬業界に関しても、一度離れるだけでいつでも戻れるのも事実だ。つまり、今このタイミングで正社員を捨ててまで契約社員のポジションを取ることは、僕にとってはリスクほぼ無いに等しい。であれば、少し貰えるお金の総額は減ってでも、将来への投資という意味で、仕事を通した刺激と学びを優先しようと考えたわけだ。フルリモートということで学校との両立も難しくないし、少し考えを整理するまでに時間はかかったが、納得のいく結論を出せて満足している。ということで、今回はこんなところで。See ya later!