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JJの気まぐれブログ

MBAing 4 〜メタでのキャリアスタート〜

~スケジュール&ビジネスモデル~

 

 詳しくは前回の記事に書いてあるが、メタに転職してから約3週間が経った。この期間でおおよそのビジネスと自分の役割を把握できたため、今回は可能な範囲でそれをシェアできればと思う。

 

 まずはシフトについてだが、一応は月~金の8時~16時半というスケジュール。ただ完全リモートということもあり、ある程度融通が効くことは入社前から想定済みだった。入ってみての現実は、想像以上に緩々だった。僕の今週を切り取ってみると、働いていた時間は月~木までどの日も1日合計3時間ほど。朝8時~9時に起床して10分くらいメッセージの確認と必要なやり取りだけ済ませた後に、日本にいるえりちゃん(彼女)と23時間電話。1012あたりはミーティングが入っていればそれに出て、それ以外は必要なメッセージのやり取り。そこからは昼寝やジム、ジョギング、ランチ、学校の宿題などを気がむくままにこなすのがルーティンだ。なぜそんなにサボっているのか?と思われるかもだが、これは僕のチームにおける役割が特殊なことにある。

 

 今回僕が入ったチームは、メタの Smart Glasses 開発に携わる QA (Quality Assurance) チーム。その中でも最近立ち上げられた翻訳部門の QA Lead としての採用となった。機密情報が多いためあまり具体的な内容はシェアできないが、チームの大きな目標は、高い水準の翻訳機能を Smart Glasses に使われている AI に搭載すること。実は AI 話し言葉の翻訳精度はまだまだそこまで高くないため、メタはこの分野で業界トップを狙うべく投資を進めているのだ。どう精度を上げていくかに関してだが、基本的なプロセスとしては、各ターゲット言語のネイティブのデータをたくさん集め、それをその言語と英語が話せるバイリンガルの人たちに翻訳してもらう。それらを集めたデータがメタに送られてきて、メタの QA チームが最終確認&数値化するという流れ。より多くのバイリンガルの翻訳が一緒であれば、それを答えとして AI に教え込ませる。この精度が上がり、法律的にプロダクトとして販売可能なラインになれば売り上げに繋がるというのが簡単なビジネスモデル。

 

 メタは昨年からこの翻訳部門に力を入れ始め、英語・スペイン語・フランス語・イタリア語・ドイツ語のプロジェクトをスタート。今年に入り日本語・韓国語・中国語が追加された形だ。最終門番である QA として働くためには高いレベルの言語力が求められる。僕は面接では日本語担当の QA を狙っていたが、ネイティブの僕ですら QA エンジニアとしては当落線上だった程に、言語としての高い理解度が要求されるポジションだった。ということでそのポジションには落とされたものの、代わりに QA リードという、所謂この全ての言語の QA エンジニアを統括するポジションとしてチームに加わることに。メタには既に PM (Project Manager) と呼ばれる、このプロジェクトのリーダーである人が二人(ペイジとシアン)がいるため、そもそもリードなんてポジションは存在していなかった。ところがどっこい、僕を面接したペイジが僕のことを大変気に入ってくれたため、メタ側に直談判しこのポジションを作ってくれたのだ。それは入社後初の 1:1 のミーティングでペイジに直接、”You know, I was so inspired by you when I interviewed you. I’m really glad you joined my team.” という最大限の賛辞で再確認できた。ちなみにそこまでペイジが僕のことを気に入ってくれた理由だが、僕が日本語・韓国語・英語のトリリンガルだったこと、とにかく明るかったこと、MBA 取得中の3つが大きかったと笑いながら言われた。ペイジは旦那さんが MBA 持ちで、メタは MBA 卒を採用しがちなこともあるので、MBA がなかったらそもそも入れてなかったように思う。

 

〜チーム内での自分の役割〜

 

 さて、肝心の僕のチームにおける役割についてだが、簡単に言うと、PM を含めたメタのビジネス側と、実際にデータを出すための仕事をこなす QA エンジニア達の間に入り、コミュニケーションを潤滑にすること。レポートをまとめたり、何か問題が発生したら報告をしたりといった、英語では Scrum Master とも言われる役割だ。このポジションをフルタイムで務めた経験はないものの、コンセプトとしてはとてもシンプルだし、僕が得意なタイプの仕事ではあるなとは感じた。個人的に大事だと思うことは、全体像を把握し、個々の役割・特性を詳しく理解した上で、それに合わせたコミュニケーションを取ること。そのため、最初の2週間は関わることがあるだろう全ての人と、1130分ずつミーティングをした。そしてペイジとシアンとはこのチームの役割を、より大きなスコープで説明してもらい、わからない部分はわかるまで聞いた。そして3週間が経ち、おおよそのプランが見えてきたわけだ。以下は具体的な考察&プランになる。

 

 ペイジは僕のマネージャーで自分のメタのキャリアにおいて一番の重要人物だ。彼女に気に入られてチームに入ったわけで、話す度に彼女の僕に対する信頼度が伺える。年齢はまだ30歳前後と若いものの、とにかく頭がキレていて、コミュニケーションもとてもダイレクトだ。こういうタイプは簡潔で要点を押さえた報告を好む。そのため僕も、振られた仕事は的確にこなし、少しでもわからないことがあれば躊躇せずにすぐに質問をする。やることだけやっていれば後は全く干渉してこないため、13時間だけの仕事で問題がないというわけだ。シアンはもう一人の PM だが、彼女は仕事にそこまで興味がないタイプ。そのため彼女に連絡をすることはほとんどないし、仕事を振られても大抵時間がある時に適当にこなして、事後報告で何の問題もない。

 

 ここからはエンジニア陣だが、チームのほとんどの仕事をこなしている面々のため、より繊細なやり取りが必要になってくる。英語・スペイン語担当のアーノルド(30歳前後)はチーム所属歴が13ヶ月と最も長く、仕事も高いレベルでこなせるエース。彼の場合は、とにかくエースとして扱うことで気持ちよく仕事をしてもらえるため、何かエンジニア関連の複雑な質問があれば彼にするようにしている。フランス語担当のノエラニ30歳前後)はサボりがちで連絡を極力取りたがらないタイプ。そのため週に2回ほど最低限のチェックインをして、やることだけ終わらせてもらうことを心がけている。イタリア語担当のパオロ(50歳前後)とドイツ語担当のロザリー(50歳前後)はとにかく話したがり。テクノロジーが苦手で、スコープから外れたこともよく言うので、忙しい PM 陣からはあまり耳を傾けてもらえないのだ。こういうタイプは時間を設けて、話しを積極的に聞くようにするととても喜ばれる。時間を決めないと無制限にアイディアを話しまくるので、できるだけ電話は控えチャットで連絡するように伝えている。もう一人のドイツ語担当のセリーン(30歳前後)はきっちり仕事をこなしたいタイプ。彼女はチームに入ったばかりでまだよくわからないことも多いようで、僕が間に入ってやり取りを進めることで、具体的なインストラクションを上から貰えるように手助けしている。返信がとても早く、テクノロジーにも精通しているため、社用携帯のチャットだけでパパッと対応できるのは嬉しい。

 

 そして僕より少し先に入った韓国語担当のヘソンさん(40歳前後)と日本語担当のみほさん(50歳前後)は僕が彼女達の母国語を話せることもあり、とても信頼されている。二人とも英語は話せるものの、PM 陣とのやり取りが苦手なようで、その分を僕が担当している。そして最後に中国語担当が4月中に入るそうで、その人が入ればチームは完成形だそうだ。といった感じで、基本的にはメッセンジャーの働きをすればいいだけなので、レポートを書く時やミーティング、データ処理などをする23時間を除けば後は社用携帯だけ持って自由時間というわけだ。ここから先忙しくなる可能性はあるだろうが、今のところはなんて簡単な仕事に就けてしまったんだろう、と嬉しさが止まらない。本当はこの後彼女ができた話しも書こうと思っていたが、想定以上に長くなってしまったため、新しい記事にしようと思う。